物申す散文

日常で見つけこと、思ったことを、書き散らかしています。

コンビニ店員からの挑戦

defkotaは激怒した。

かの使えないコンビニ店員を駆逐せねばならないと決意した。defkotaにはコンビニ接客は分からぬ。それでも、そのコンビニ店員の対応は常軌を逸していた。

夜。defkotaは仕事を終え、疲れ果てた体を引きずりながら東京は恐れ入りやの鬼子母神で有名な入谷の交差点を歩いてた。

今夜は撮り貯めていた「夜桜四重奏」を見ながら、飯を食べよう。そう目論んでいたdefkotaは例のごとく、家から最寄りのコンビニへ入る。

ネギ塩カルビ弁当。これこそ、defkotaのマストアイテムだった。例のごとくネギ塩カルビ弁当にさけるチーズを添え、レジへ向かう。

レジに入っていたのは、いつも接客態度の良くない女店員。声はうつろで顔は俯き、髪は乱れている。接客業たるもの清潔感は第一であるべきだ。それくらいは、大学生活中にサンドウィッチ屋でお洒落サンドウィッチをつくっていた(得意サンドウィッチはシュリンプ&アボカドだ!!)defkotaにも分ることだった。

とはいっても、人にはいろいろと事情がある。彼女は彼女なりに接客業をやっているのかもしれない。「これが接客業だ」と自分の主観を押しつけがましく他人に強要するものではない。これが、大人というやつだ。

会計を終えて待つこと40秒。チンという音が鳴り、女店員がネギ塩カルビ弁当を袋に詰める。

ただ、このときdefkotaは気が付くべきだった。温めの間に、にちゃんねるのまとめのまとめなどにうつつを抜かしているから、その異常に全くもって気が付くことができなかった。

異常をdefkotaが認知したのは、家についてからであった。

部屋に入るとdefkotaは、部屋の真ん中にあるテーブルの上にネギ塩カルビ弁当とさけるチーズを置き、まずはジャケットをハンガーにかける。次に手と顔を洗う。洗面所から出た先は冷蔵庫だ。キンキンに冷えた麦茶をコップに注ぎ、テーブルの上に置く。

今夜も完璧だ。あとはテレビをつけ、ソファーに腰かけ、録画を再生するだけでdefkotaの一日が幕を開ける…はずだった。

録画を再生し始め、夜桜四重奏のOPが流れ始めた頃、defkotaはネギ塩カルビ弁当の封を外していた。弁当箱の蓋を外した瞬間、ネギ塩の香りがdefkotaの鼻腔を満たす。これこそ、食欲の匂いだ。

あとは、割り箸を手に取るだけだ。(洗い物が嫌なので基本割り箸なのだ!!)

しかし、コンビニの袋に割り箸は入っていなかった。

「まぁ、コンビニの店員もミスくらいはする。むしろ、コンビニの店員だからこそそのくらいミスはする。許そう許そう、今宵のワシは寛大じゃ」

かっかっか、と笑いながらなんとなくコンビニの袋の中を漁っていたdefkotaは手に何かが触れるのに気が付いた。袋から出てきたのはストローだった。

「なるほど。この麦茶をこれで飲めと。粋じゃ。粋な計らいじゃ。なんと粋な店員だろう。夜桜四重奏に乾杯じゃ」

がははは、と笑いながらコンビニの袋を捨てようとしたdefkotaは袋にまだ何かが入っているのに気が付いた。袋から出てきたのは、やはりストローだった。

defkotaは激怒した。

目の前に転がる二本の封を開ける前のストローに、そしてそれを袋に仕込んだあの女定員に。

箸を入れ忘れたなら分かる。ストローを間違って入れたなら分かる。

ただ、ストローが二本。これはだめだ。確信犯でなければありえないミスである。

二本のストローは物語っている。「これでネギ塩豚カルビを食え」と。

「負けてたまるか」

defkotaは心の底からそう思った。売られた喧嘩は買う。やられたらやり返す。

defkotaはストローを使い、さけるチーズに押し込んでしゅぽっと吸って食べてみた。

そして確信した。

さけるチーズはさけて喰らうべし、と。